初めまして、AAR Japan[難民を助ける会]ヤンゴン事務所 中川善雄と申します。AARは、2000年からヤンゴンで障がい者のための職業訓練校を運営しています。2018年2月1日、AARは皆様が整備してくださった車いす10台を頂きました。その内9台は、訓練校の生徒・卒業生の中から、より車いすが必要な方を選んで渡しました。残りの1台は、訓練校で、車いすは必要ではあるものの持っていない生徒への、共用車いすとして使用しています。
ミャンマーでは、今までのところ、車いすを製造する工房や企業はなく、ほとんどが中国やマレーシア等から輸入されたものです。価格は質によって異なりますが、一番安いもので約1万円です。多くの障がい者家庭にとって、車いすを購入することは簡単ではありません。車いすを扱うお店は多くはなく、種類やサイズも限られます。私たちも、車いすを探し回っても、大人用の体格が大きい人向けの車いすしか手に入らない、ということもあります。
AARの訓練校では、ミャンマー全土から身体障がい者(18~40歳)を受け入れています。生徒の多くは、四肢・聴覚など先天性障がいや、ポリオの後遺症、交通事故や地雷事故等による障害があります。理容美容、洋裁、コンピューターコースがあり、期間は3.5ヵ月、年3回開講します。毎年、障がい者計約130名(男女半数)が入学します。車いすが必要な生徒の体型は様々ですが、訓練校の共用車いすは大きいサイズしかありませんでした。特に、女性生徒は大きい車イスで自走することは難しいことが多く、今回、ご寄付頂いた車いすはとても役立っています。現在開講している学期(2018年5~8月)で、頂いた車いすを使用している生徒の写真をお送りします。ぜひご覧ください。
訓練校では、教育や基礎技術の機会を得られなかった障がい者を対象に、基礎技術や社会性を身につけることを通じて、社会で働くための初めの一歩を後押しすることを目的にしています。そのため、各コースのカリキュラムだけではなく、授業以外の課外活動や寮生活、就職斡旋や就職後のサポートにも力を入れています。ミャンマー人スタッフの頑張りと、長年積み重ねた経験、そしてたくさんの方からの様々なご支援で、2017年には約135名が卒業して就労率は約94%(理容美容94%、洋裁100%、コンピューター86%)にもなりました。
皆様がAARへ寄付してくださった10台の車いすにより、訓練校では、生徒が自分で移動できるようになり、授業も受けやすくなりました。また、卒業生からは、松葉杖を使う痛みが軽減されて働きやすくなったり、物を運んで家事や家業を手伝い家族を支えられるようになったりした、という声が多く寄せられました。ミャンマーには、車いすが必要でも手に入れることができない障がい者は少なくありません。車いすをご寄付くださり、本当にありがとうございました。
